20年近く対象敷地近くで理容室を営んできた夫婦2人のための兼用住宅の計画である。対象敷地は大通りに面しており、非常に車通りの多い通り、対象の敷地は大通りからの視線に対して、店舗としての視認性、住宅としてのプライバシーが求められた。地域の人々から愛され続けたお店の新築にあたり、周辺の住宅地とのボリュームの統一のため、極力ボリュームを抑え、流れ方向の異なるボリュームを5つ連続させた計画とした。

それぞれのボリュームはそれぞれ異なる機能を持ちながら、前面の道路に対し、多様な距離をとりながら配置されている。各諸室をそれぞれの関係性と動線計画を前提に配置し、それぞれ求められた機能の大きさと敷地との間に意図的に生み出したウチニワ空間により、住宅の広がりと、店舗の広がりをそれぞれ獲得している。

それぞれの機能が集まり、ひとつのマチのような賑わいが外部と内部。人と人とを緩やかにつなげていくような建物として、今後この土地に根付いていくことを期待している。

〈設計監理　ノarchitects〉(宇部市に新築)